〜愛犬サブとの出会い〜

我が家にサブがやってきたのは、平成13年8月31でした。

私にとって夏休み最後のこの日、まだ名もない 野良犬に昼食を奪われるハメになったのです。 私は、昼食に用意された大好物の焼肉を、よく分からない ノラ君に差し出さなければならなかったとはこの思い出は一生消えないでしょう。(笑)

車で習い事に出かけたばかりの母親の携帯から、自宅に電話が 入りました。

「家の前の道に、野良犬がいるから、急いで何か餌を あげて、それから家の門の中に入れておいて!」慌てた調子の 母のこの一言が私にとって、サブとの出会いの始まりでした。

勝手な言いつけを残して電話を切ってしまった母。 『まったく、犬好きのわがままには付き合い切れないわ』と 感じながらも、野良してるワンちゃんに興味が湧かなかったとは 言えませんでした。

そしてとっさに、自分がこれから まさに食べようとしていた焼肉を、持って外へ出たのです。 心の中ではこの焼肉に対する執着を切り捨てながら…。 

家の外に出て走りました。母が言っていた方向へ。 すると、居ました!少し大きめの、茶色い犬です。 近寄って、餌の肉を差し出そうとすると、怖がって、 遠ざかってしまいます。

それなので肉をちぎりながら 少しずつ置いては家の近くまで引き寄せるように連れて来ました。

とうとう家の門の中まで来ました。門を閉めたのですが 下の空いたスペースからすり抜けて出て行ってしまいます。

それでも、野良君は、お肉はもっと欲しいようで 遠ざかりながらもこちらをうかがっていました。 でもとうとう、母親が帰る頃には、どこに行ったか 残念ながら分らなくなってしまっていました。

これで、もう敢え無くお別れなのか、この野良君との その日一日は終わりました。

犬好きの母親が少々がっかりしていました。 野良生活が長いと感じられるほど汚くなってもいなくて でも、どんな目に遭ってきたのか思いやられるほどの その子の臆病そうな姿が心に残ってしまいました。

翌日から、近所にあの子がいないものか、 学校から帰ってきてから、さりげなく探索が 始まっていました。

それは母親も、同じだったと思います。暇さえあれば気になって、目を光らせる 状態になっていました。

にも拘わらず、もう遠くへ、 さまよいながら行ってしまったようにも思われます。 近所では、出会うことがありませんでした。

しかし、気になる存在のあの子との再会を諦めかけた頃のこと、 数日経っていたでしょうか。家の前にある、アパートの 敷地で、彼(?)を発見!

近寄って行くと、すっかり 服従のポーズで私を迎えています。私のことを、憶えていての ことなのかどうかはわかりません。

やっと会えた。とにかくかわいい。 動きがおそいような感じがしました。落ち着いているという 印象です。

ハスキー犬のような模様の顔は、通常の雑種よりは 大きめの体であることと相俟って、人に威圧感を与えてしまうようでも ありました。ですが私にはすっかり服従していて、 お腹を見せながら、甘えてくれているのです。

それからは、どこか遠くへ行かないようにしたくて また牛乳をあげたりしていました。家の前の門の下は、 もうすりぬけてしまうと分っていました。かといって玄関に閉じ 込めるのもかわいそうだし、それは一体この子をどうしようとしているのか わからない、勝手な行動に思えました。

それでしばらく、近所で出会えば世話をする関係が続きました。その当時 犬好きの母は、大人しくていい性格の犬だと感じていたそうです。

とうとう、野良君を我が家へ招き入れる日が訪れます。

家族で、親戚の法事に出かける時、車で家を出ると、またアパートの前に来ていました。

どちらにしても、迷い犬か捨て犬です。とにかく保護しようということになりました。 ちょうど実家に寄る予定でしたので、車に乗せて、一緒に祖父母の家まで行き、帰りまで預かってもらうことにしました。

法事の帰りに祖父母の家でサブをまた乗せて、我が家へ帰りました。 なんとも大人しくておりこうさんです。 その夜は、玄関に置いてあげました。

よく朝、法事に行かなかった兄が、起きて来て、玄関で、まだ話にしか聞いていない犬と鉢合せ。 兄は、けっこう迫力のある犬にちょっとびっくりしたようです。 それからはいつのまにか、家族全員が飼いたい気持ちにすっかり変わっていたように思います。

まず、獣医さんへ連れて行きました。すると、 事情を知った獣医さんが、すぐに保健所に連絡してしまいました。 ですが、幸い(?)犬を探してる飼い主さんは見つかりませんでした。 私たちはそれでホッとしました。それから犬は遺失物扱いなのだ そうで、時効が来るのを心待ちにしていました。

いつの間にか保健所からの連絡もまったくなく、 時効を迎えたことを確信しました。

それから本格的に我が家での生活が始まりました。まずは名前を付けることが 最初の私達の仕事でした。母が飼った犬で野良の3代目になることから 一代目は太郎、ニ代目の次郎転じてチロ、今回、この野良君は 三代目なので三郎、転じて、『サブ』となりました。

ちなみに、一代目の太郎は野良で、出会った時から、 ジステンバーにかかっていたのだそうです。 症状がすぐに出て、獣医さんに見てもらった時には すでに手遅れだったそうです。

ニ代目のチロも野良で、我が家で最後まで過ごすことが できました。

三代目のサブも今や、楽しい思い出をたくさん 作ってくれる、大切な存在になっています。

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